クラヴィアシューレ通信

「守破離」で考えるピアノ上達の道。

日本の伝統芸道・武道には「守破離(しゅ・は・り)」という考え方があります。
これは、技や表現を身につけていくための、普遍的な成長のプロセスです。

ピアノを学ぶ道も、まさにこの「守破離」に沿って進んでいきます。

守 ― まずは「形」を守る

「守」とは、師の教えを忠実に守り、基本を徹底して身につける段階です。

ピアノを習い始めたときに大切なのは、

正しい姿勢
手や指の形
力の使い方
楽譜の正しい読み方
といった、演奏の土台となる「型」です。

この時期は、自分なりの弾き方や解釈を急ぐ必要はありません。
まずは講師の示す型を信じ、素直に真似ることが、上達への最短ルートです。

破 ― 理解し、広げていく

基礎が身体にしっかり染み込んでくると、次の段階「破」に入ります。

なぜこの指使いなのか
どうすればもっと響くのか
フレーズをどう歌わせるか
といった疑問を持ち、学んだ形を自分の中で分解・理解していく段階です。

基礎を「壊す」のではなく、
理解を深めることで、形を発展させていくのが「破」です。

 

離 ― 自分の音楽になる

十分な経験と理解を積み重ねると、自然と「離」の段階に進みます。

音楽を自分の言葉で語れる
曲に合わせて自在に音色を変えられる
型を意識せずとも、身体が正しく反応する
このとき初めて、ピアノは「習い事」から「自分の音楽」へと変わります。

大切なのは、「離」は目指して作るものではなく、
「守」と「破」を丁寧に積み重ねた結果、自然に訪れるということです。

守破離を意識したピアノ学習が、遠回りに見えて一番の近道
最初から自由に弾こうとすると、どこかで必ず行き詰まります。
しかし、正しい形を学び、理解し、発展させていけば、
表現の幅は確実に、そして深く広がっていきます。

ピアノを習うとは、
守破離の道を音楽で歩むこと。

まずは、信頼できる講師から「守」をしっかり学ぶこと。
そこから、あなただけの音楽が始まります。

 

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